エリアデータ · 名古屋市
名古屋市 16 区で災害に強い区 — 取引があった 388 町の洪水・土砂・液状化を実データで照合
公開: 2026 年 9 月 16 日 · データ取得日 2026 年 9 月 16 日 · SafeLand 編集部
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名古屋市は、東に丘陵、西に濃尾平野の低地が広がります。 「名古屋市で災害に強い区はどこか」を考えるとき、効いてくるのは主に洪水と液状化で、土砂災害はほとんど出てきません。
この記事では、実際に家や土地が売買された町を 1 つずつ公開データと照合しました。 評判や地形の一般論ではなく、直近四半期に取引があった 16 区・388 町の実測値です。
この記事で分かること
- 16 区で、取引があった町のうち何 % が洪水・土砂災害・液状化に該当するか
- 最も少ないのは名東区 (4%)、次いで千種区 (9%)、緑区 (12%) であること
- 西部の 5 区(北区・西区・中村区・中川区・港区)では、取引があった町すべてが 1 つ以上に該当したこと
- 名古屋では、災害の少なさと人口の維持がおおむね同じ方向を向くこと。 神戸市で見られた逆の関係とは異なる
- 2050 年に人口が増える見込みなのは東区だけであること
調べ方 — 取引があった町を照合する
- 国土交通省の不動産情報ライブラリから、直近四半期に取引があった町を区ごとに集める (16 区・388 町)
- 町名を位置特定して、町の代表点を得る
- 整形後の住所に同じ区・同じ町が残っているかを確認する。別の場所に寄せられた町は数に入れず落とす
- その代表点で洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域・液状化傾向図を照合する。 液状化は調査範囲に入っているかではなく、判定が「しやすい」側のものだけを数える
区を 1 地点で代表させていません。出ている割合は、実際に人が買っている場所のうち何 % が該当したか、です。
この照合で分からないこと
- 判定は町の代表点に対するものです。同じ町でも、道を 1 本はさむと変わることがあります
- その四半期に取引が無かった町は入っていません。区内の全町が母数ではありません
- ハザードの区域は行政が公表している想定です。見直されることがあり、 個々の建物の構造や地盤改良までは示しません
- 単価の中央値は種別が混在した取引額から計算したもので、公示地価ではありません
災害の該当が少ない順
「いずれか」は、洪水・土砂・液状化のうち 1 つ以上に該当した町の数です (同じ町が 2 つに該当しても 1 と数えます)。
| 順位 | 区 | 照合した町 | 洪水 | 土砂 | 液状化しやすい | いずれか |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 名東区 | 24 | 1 (4%) | 0 (0%) | 1 (4%) | 1 (4%) |
| 2 | 千種区 | 32 | 2 (6%) | 0 (0%) | 3 (9%) | 3 (9%) |
| 3 | 緑区 | 26 | 1 (4%) | 0 (0%) | 3 (12%) | 3 (12%) |
| 4 | 中区 | 13 | 0 (0%) | 0 (0%) | 2 (15%) | 2 (15%) |
| 5 | 昭和区 | 23 | 0 (0%) | 0 (0%) | 4 (17%) | 4 (17%) |
| 6 | 東区 | 14 | 4 (29%) | 0 (0%) | 4 (29%) | 4 (29%) |
| 7 | 天白区 | 23 | 7 (30%) | 0 (0%) | 5 (22%) | 8 (35%) |
| 8 | 瑞穂区 | 22 | 7 (32%) | 0 (0%) | 9 (41%) | 11 (50%) |
| 9 | 守山区 | 23 | 10 (43%) | 1 (4%) | 11 (48%) | 12 (52%) |
| 10 | 熱田区 | 14 | 6 (43%) | 0 (0%) | 10 (71%) | 10 (71%) |
| 11 | 南区 | 30 | 17 (57%) | 0 (0%) | 26 (87%) | 26 (87%) |
| 12 | 北区 | 22 | 20 (91%) | 0 (0%) | 21 (95%) | 22 (100%) |
| 13 | 西区 | 25 | 25 (100%) | 0 (0%) | 25 (100%) | 25 (100%) |
| 14 | 中村区 | 35 | 33 (94%) | 0 (0%) | 35 (100%) | 35 (100%) |
| 15 | 中川区 | 32 | 32 (100%) | 0 (0%) | 32 (100%) | 32 (100%) |
| 16 | 港区 | 30 | 26 (87%) | 0 (0%) | 30 (100%) | 30 (100%) |
東部の丘陵にある名東区・千種区・緑区・昭和区が 4〜17% にとどまる一方、西部の 5 区は 照合した町がすべて該当しました。土砂災害警戒区域に該当したのは 16 区を通じて守山区の 1 町だけで、 名古屋で効いてくるのは実質的に洪水と液状化です。
該当率 100% は、その区が住めない場所という意味ではありません。 これらの区は濃尾平野の低地にあたり、行政が公表している浸水想定と液状化傾向の範囲が 広く取られています。該当は「想定区域に入る」ということであり、 建物の構造や階数、地盤改良の有無によって実際の備えは変わります。 中村区には名古屋駅周辺が含まれ、取引件数も 54 件と多い区です。
名古屋では、災害の少なさと人口の維持が同じ方向を向く
神戸市を同じ方法で調べたときは、災害の該当が少ない区ほど 2050 年の人口が大きく減るという逆の関係が出ました。 名古屋市ではそうなりません。
| 区 | 災害いずれか | 2050 年変化率 | 高齢化率 | 単価中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 名東区 | 4% | -7.7% | 21.6% | ¥346,154 |
| 千種区 | 9% | -5.0% | 23.8% | ¥480,000 |
| 緑区 | 12% | -1.3% | 22.8% | ¥180,000 |
| 中区 | 15% | -0.7% | 16.6% | ¥600,000 |
| 昭和区 | 17% | -7.7% | 23.3% | ¥360,000 |
| 東区 | 29% | +3.2% | 21.3% | ¥611,765 |
| 天白区 | 35% | -9.3% | 22.3% | ¥259,459 |
| 瑞穂区 | 50% | -8.1% | 24.9% | ¥310,000 |
| 守山区 | 52% | -5.3% | 24.2% | ¥150,000 |
| 熱田区 | 71% | -7.7% | 25.8% | ¥412,500 |
| 南区 | 87% | -20.2% | 29.8% | ¥300,000 |
| 北区 | 100% | -14.7% | 28.9% | ¥233,333 |
| 西区 | 100% | -7.2% | 23.7% | ¥400,000 |
| 中村区 | 100% | -9.0% | 25.9% | ¥469,565 |
| 中川区 | 100% | -13.7% | 24.6% | ¥200,000 |
| 港区 | 100% | -25.2% | 27.2% | ¥142,857 |
該当が少ない緑区 (-1.3%)・中区 (-0.7%)・千種区 (-5.0%) は 2050 年の減りが小さく、該当率 100% の港区 (-25.2%)・ 北区 (-14.7%)・中川区 (-13.7%) は大きく減る見込みです。該当 87% の南区も -20.2% と大きく減り、転入超過率も -0.85% と 16 区で最も低い値です。
つまり名古屋市では、災害の該当が少ない区を選ぶことが、人口が保たれる区を選ぶことと 大きくは矛盾しません。減りが最も小さいのは中区 (-0.7%) ですが、照合できた町は 13 町と 16 区で最も少なく、割合のぶれが大きくなります。 町数の裏づけがあるのは緑区で、26 町を照合して該当 3 町、 2050 年は -1.3% です。
2050 年に人口が増える見込みなのは東区だけ (+3.2%) で、 転入超過率も 1.22% と 16 区で最も高い区です。 該当率は 29% と中位で、洪水に該当した町が 4 町あります。
区ごとに見ると
- 名東区 — 該当 4%(24 町中 1 町)で 16 区で最も少ない。2050 年は -7.7%、転入超過率は -0.39%。
- 緑区 — 該当 12%、2050 年 -1.3%。増加する東区と、減りが最も小さい中区に次ぐ水準で、 照合した町数 (26 町) も多く、該当と人口の両方で条件が良い。
- 千種区・昭和区 — 該当 9〜17%。該当した町はほとんどが液状化の判定によるもの。
- 東区 — 16 区で唯一 2050 年に人口が増える見込み (+3.2%)。該当 29%。
- 熱田区・瑞穂区・守山区 — 該当 50〜71% の中間層。守山区は 16 区で唯一、 土砂災害警戒区域に該当した町がある。
- 北区・西区・中村区・中川区・港区 — 照合した町すべてが該当。 2050 年は -25.2%〜-7.2% の減少見込み。港区は 16 区で最も大きく減る。
- 南区 — 該当 87%、2050 年 -20.2%、転入超過率 -0.85% と 16 区で最も低い。高齢化率も 29.8% と最も高い。
購入前に確認すること
区の割合は候補を絞る材料であって、住所の答えではありません。 名古屋市の西部のように該当率が高い区では、該当するかどうかより、想定される浸水の深さと建物側の条件のほうが実質的な判断材料になります。
- その住所で想定されている浸水の深さと、想定の前提となる河川・降雨
- 建物の階数と居住階、電気設備の位置、地盤改良や杭の有無
- 液状化の判定が「しやすい」側か、周辺で過去に被害の記録があるか
- 周辺の取引価格と、その町の人口がこの 10 年でどう動いたか
SafeLand では、住所を入れると公開データから該当の有無をその場で確認できます。 登録は不要です。
出典と数字の定義
- 取引があった町・取引件数・単価中央値: 国土交通省 不動産情報ライブラリ
- 洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域・液状化傾向図: 同ライブラリ
- 人口・高齢化率・転入超過率・2050 年推計人口: 総務省統計局 e-Stat
- 町の代表点: Google Geocoding(整形住所が同じ区・同じ町であることを確認済み)
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