実務向け
「結局どのくらい危ないのですか」— 顧客の質問に公開データで答える
公開: 2026 年 9 月 24 日 · SafeLand 編集部
水害ハザードマップ上の位置を説明したあと、購入者から次のように聞かれることがあります。 いずれも説明義務の対象ではありませんが、購入の判断に直結するため実務では避けられません。 ここでは、どの公開データで何が分かるかと、断定を避けた答え方を整理します。
なぜ義務の外の質問に備えるのか
重要事項説明で求められているのは、市町村の水害ハザードマップ上で物件のおおむねの位置を 示すことです(対象と方法はこちらで整理しています)。位置を示した時点で義務は果たされますが、購入者の関心はその先にあります。
ここで「分かりません」と答えるか、出典のある数値を示せるかで、担当者への信頼は変わります。 一方で、断定すれば後日の紛争の材料になり得ます。根拠を示しつつ、評価は述べないのが線引きになります。
「どのくらい浸かるのか」
都道府県が公表する洪水浸水想定区域図には、想定される浸水深の区分が 示されています。国土交通省の「重ねるハザードマップ」でも、住所を検索して浸水深の レイヤーを重ねて確認できます。
深さが分かると、購入者の関心は「では自分の住戸はどうなのか」に移ります。 想定浸水深と居住階、電気設備の位置の関係は、同じ区域内でも物件ごとに違います。 ここは資料ではなく物件の図面で確認する部分です。
「地盤は大丈夫か」
液状化については、都道府県等が公表する液状化傾向の資料で、その地点がどの区分に当たるかを 確認できます。区分は「しやすい」から「しにくい」まで段階があり、調査範囲に入っていること自体は「危険」を意味しません。どの段階かを示すのが正確な伝え方です。
一方で、地盤改良や杭の有無は公開資料では分かりません。建築時の記録や地盤調査報告書で確認する必要があります。ここを混ぜて答えると、 「地盤は問題ない」と受け取られてしまうため、資料で分かる範囲と分からない範囲を 分けて伝えます。
「昔は何があった土地か」
国土地理院の「地理院地図」では、地形分類(自然堤防、後背湿地、旧河道、 旧池沼、埋立地など)を重ねて表示できます。明治期以降の旧版地形図や空中写真も重ねられるため、 造成前に何があったかを確認できます。
旧河道や旧池沼に当たる土地は、周囲と比べて地盤が軟弱な場合があります。 この情報は購入者が自分で調べても分かるものなので、先に把握しておくと、あとから指摘されて信頼を損なう事態を避けられます。
「将来、人は減らないか」
総務省統計局の統計から、人口・世帯数・高齢化率・転入超過率・将来推計人口を確認できます。 取引価格の目安は国土交通省の不動産情報ライブラリで、周辺の成約事例から把握できます。
将来の資産価値を断定することは避けてください。示せるのは出典のある数値までで、そこから先の判断は購入者に委ねる形が安全です。
断定を避けた答え方
| 避けたい言い方 | 根拠を示す言い方 |
|---|---|
| 「ここは安全です」 | 「公表されている想定区域には入っていません。想定は見直されることがあります」 |
| 「地盤は問題ありません」 | 「液状化の区分は『しにくい』側です。地盤改良の有無は建築時の記録で確認しましょう」 |
| 「この辺は値下がりしません」 | 「2050 年の推計人口は現在比で示すとこの数値です。周辺の成約単価はこの水準です」 |
いずれも出典と、その資料で分からないことを添える形です。 購入者にとっては「調べたうえで正直に線を引いてくれた」という印象になり、 断定するより信頼につながります。
SafeLand では、住所を入力すると上記の項目を一度に確認できます。登録は不要です。 個別に 4 つのサイトを行き来する手間を省くための道具として使えます。
出典
住所単位のデータを、お客様への説明に使える形でまとめます
洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域・液状化のしやすさ・微地形・人口の将来推計・ 取引価格の目安を、住所を入れるだけで確認できます。重要事項説明の代替ではなく、 説明のあとに来る質問に答えるための資料です。