SafeLand
ログイン

実務向け

重要事項説明の水害ハザードマップ — 対象・説明の方法・マップが無いときの扱い

公開: 2026 年 9 月 24 日 · SafeLand 編集部

重要事項説明で水害ハザードマップを扱うようになって数年が経ちました。運用は定着しているものの、対象となるマップの種類とマップが作成されていない市町村での扱いは、確認の漏れが起きやすい部分です。ここでは公表資料をもとに、実務で必要な範囲を整理します。

何が義務になっているのか

宅地建物取引業法施行規則の改正により、2020 年(令和 2 年)8 月 28 日から、 重要事項説明の項目として、水害ハザードマップにおける取引対象物件の所在地を示すことが 追加されました。近年の大規模水災害を背景に、水害リスクの情報が契約締結の意思決定にとって 重要な要素であるとされたことによるものです。

求められているのは「マップ上で物件がどこにあるかを示すこと」です。 危険度の評価や、浸水した場合の被害の見通しを述べることまでは含まれていません。

対象となるハザードマップ(洪水だけではない)

対象は、水防法第 15 条第 3 項の規定に基づいて市町村が提供する水害ハザードマップです。 含まれるのは次の 3 種類です。

種類想定している現象
洪水河川の氾濫
雨水出水(内水)下水道等の排水能力を超える降雨による浸水
高潮台風等による海面の上昇

洪水のマップだけを確認して終わりにしないことが実務上の要点です。 河川から離れていて洪水のマップでは色が付かない土地でも、内水では浸水が想定されることがあります。 埋立地や港湾に近い地域では高潮のマップが別に用意されている場合もあります。 3 種類それぞれについて、その市町村が提供しているかを確認します。

説明の方法

対象物件のおおむねの所在地について、水害ハザードマップ上の位置を指し示す、印をつけるなどの方法で説明します。地番の厳密な特定までは求められていません。

用いるマップは、物件が所在する市町村が配布する印刷物、または市町村のホームページに 掲載されているものを調査して使います。国土交通省の Q&A や業界団体の解説では、 これを印刷して相手方に交付する運用が示されています。具体的な様式や交付の取り扱いは、所属団体の重要事項説明書の様式と、国土交通省 「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」でご確認ください。

市町村が作成していない場合

すべての市町村が 3 種類すべてのマップを作成しているわけではありません。市町村に照会した結果、 水害ハザードマップが作成されていない、または提供されていないことが確認された場合は、提示すべき水害ハザードマップが存在しない旨を説明します。

つまり「無いから触れない」ではなく、「無いことを確認して、無いと説明する」という手順になります。照会した事実を記録に残しておくと、後の確認に耐えられます。

実務で見落としやすい点

  • 内水・高潮の確認漏れ — 洪水のマップだけで完了としてしまう。3 種類を個別に確認する
  • 県の浸水想定区域図とマップの混同 — 説明義務の対象は市町村が水防法に基づき 提供する水害ハザードマップです。都道府県が公表する浸水想定区域図や、国土交通省の 「重ねるハザードマップ」は便利な調査手段ですが、これらを示すことで義務を果たしたことには 必ずしもなりません
  • マップの改定 — 想定が見直されると内容が変わります。過去の案件で使った 印刷物を再利用せず、取引ごとに最新のものを確認します
  • 浸水深の説明を求められたときの線引き — 義務は位置を示すことまでです。 深さや被害の見通しについて断定的に述べると、後日の紛争の材料になり得ます。 資料に記載された想定として示す形が安全です

義務の外だが必ず聞かれること

位置の説明を終えたあと、購入者から次のように聞かれることがあります。いずれも水害ハザードマップの 説明義務の対象ではありませんが、購入の判断に直結するため、実務では避けられません。

  • 「区域に入っているのは分かりましたが、結局どのくらい危ないのですか」
  • 「地盤は大丈夫ですか。昔は何があった土地ですか」
  • 「この辺りは将来、人が減りませんか。資産価値はどうなりますか」

これらは公開データで確認できる範囲があります。液状化のしやすさは都道府県等が公表する 液状化傾向の資料、土地の来歴は国土地理院の地形分類や旧版地形図、人口の見通しは 総務省統計局の統計から確認できます。その場で根拠を示せるかどうかで、回答の受け取られ方が変わります。

SafeLand では、住所を入力すると洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域・液状化のしやすさ・ 微地形区分・人口の将来推計・取引価格の目安を一度に確認できます。登録は不要です。法人向けの案内では、お客様への説明に使う形式についてご案内しています。

なお、SafeLand が参照しているのは国土交通省の洪水浸水想定区域や液状化傾向図などで、市町村が水防法に基づき作成する水害ハザードマップとは別のものです。重要事項説明は従来どおり、市町村のマップを用いて行ってください。

出典

住所単位のデータを、お客様への説明に使える形でまとめます

洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域・液状化のしやすさ・微地形・人口の将来推計・ 取引価格の目安を、住所を入れるだけで確認できます。重要事項説明の代替ではなく、 説明のあとに来る質問に答えるための資料です。

本記事は実務の参考として公開データと行政の公表資料を整理したもので、法令の解釈を 示すものではありません。重要事項説明の運用は、国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・ 運用の考え方」および所属団体の様式・指針に従ってご確認ください。制度は改正される ことがあるため、必ず最新の一次情報をご参照ください。